
柳病院における地域医療研修について
公立八女総合病院研修医 盛満 勇基
令和七年八月の一か月間、初期臨床研修「地域医療・一般外来」として、柳病院と柳育会関連施設にて研修させて頂いた。
柳病院では主に外来陪席、訪問診療同行、手術への参加、内視鏡などの処置介助を行った。初日に来年度より消化器内科を専攻するとお伝えしたため、特に内視鏡を含め消化器内科の処置介助に入ることが出来た。上部・下部消化管内視鏡検査をはじめ、ERCP、大腸ステント挿入、PTGBDといった消化器系に特異的な処置だけでなく、医師三年目以降の病棟管理などでも必要なPICC挿入、CV挿入といった手技にも参加させて頂き、大変勉強になった。手術では腹腔内解剖の復習と縫合をすることが出来た。また、訪問診療にも同行し、それぞれの家庭の課題点や方針を目の前で見学することで地方の医療の問題点、ひいては高齢化社会の実情を学ぶことが出来た。在宅医療の現場でもそうであるが、外来診療でも、市中病院として自分の専門診療科以外の疾患にも対応する必要があり、幅広い医学知識や臨床手技が必要であることを痛感した。
新やなぎ在宅支援センターでは、訪問看護、訪問リハビリ、訪問介護などに同行した。病院内での看護師やPT、OT、MSWなどとの連携の大切さは言わずもがなであるが、こうした在宅医療の場での連携も医師になってから再度目の当たりにすることで、その大切さや必要性を再確認した。
八女リハビリ病院では、主に回復期リハビリの見学に加え、公的扶助・生活保護、障害者制度、栄養管理などについての講義も行われた。医師国試以来の公衆衛生分野の復習でもあり、今後様々な治療や医療サービスの選択肢を患者に提供する側として、改めて医学知識だけでなく社会制度についての知識も身に着けなければならないと思わされる研修であった。
健診クリニックでは、健診での診察に参加することで、予防医療についての重要性や医師の役割、医師という職業の幅広さを学ぶ事ができた。また、メディカルフィットネスイーストでは実際に利用者が行う工程を体験し、運動療法の効果を自身で感じることが出来た。
グリーンビュー希望ヶ丘や長峰の丘では、デイケア・デイサービスでの医療者の仕事や利用者の過ごし方を見学・体験し、転倒予防や栄養管理、認知症予防などといった医学的側面はもちろんであるが、入所において利用者の娯楽性もある程度担保されなければならないというサービス業としての一面も感じられた。
この一か月の研修を通して、一般的な外来診療、患者のニーズに合わせた看護・リハビリ・介護も含めた訪問診療、デイケア・デイサービス、行政の定める社会制度などといった地域医療の様々な医療形態を学ぶ事ができた。加えて、今後自分が進む消化器内科についての知識や手技も学ぶ事ができ、大変有意義な一か月であった。
最後に、この研修で関わった栁理事長をはじめとした全ての先生方、医療関係者の皆様、大変お世話になりました。心より感謝申し上げます。